抗TNF-α製剤は腎虚血再灌流障害を抑制することを解明

Y. Nagata, M. Fujimoto, K. Nakamura, N. Isoyama, M. Matsumura, K. Fujikawa, K. Uchiyama, E. Takaki, R. Takii, A. Nakai, H. Matsuyama. Anti-TNF-α agent infliximab and splenectomy are protective against renal ischemia-reperfusion Injury. Transplantation 2016 May 10

  腎移植における虚血再灌流障害は、移植腎の機能喪失や拒絶に関係する重要な問題となるが、その障害を予防するための確立された治療法は存在しない。今回、我々(医化学分野−泌尿器科学分野の共同研究グループ)は、ラットに抗TNF-α製剤であるインフリキシマブの投与または脾臓摘出は、腎組織中の炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-1β, IL-6)および単球/マクロファージの産生を抑制することで、腎臓における虚血再灌流障害を予防できることを明らかにした。この障害の抑制は、HSP70の発現の抑制も伴っていた。以上の結果は、インフリキシマブが移植腎の機能保持に有用であることを示唆している。

 炎症性サイトカインとHSP70の発現をともに調節するのがHSF1であり、今後、腎臓の虚血再灌流障害におけるその詳細な役割を解明する必要がある。